地域と大学と無印良品がつながる場所――「NOKOマルシェ」から見えた、未来の暮らしのかたち

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 2025年10月11日(土)、東京農工大学「邂逅館」で開催された「NOKOマルシェ」。出店者たちは、フードテックやアップサイクル、地産地消といったキーワードを掲げながら、それぞれの「想い」を持ち寄りました。

 今回は、東京農工大学と共催している「無印良品 東京農工大学府中キャンパス」の店長の新井さん、そして出店者の皆さんにお話を伺いました。

「地域・大学・企業をつなぐ」マルシェを目指して|無印良品・新井さん

大学の敷地内にある無印良品の広々とした店舗。地域の新たな交流拠点として活用されている。
大学の敷地内にある無印良品の広々とした店舗。地域の新たな交流拠点として活用されている。

 今回で2回目の開催となる「NOKOマルシェ」。開催の背景には、無印良品が農工大の敷地内に新たにオープンした店舗の存在があります。

 約100坪の広さを活かし、地域の人や学生が自然と集まる場所にしたいという想いから、このマルシェはスタートしました。

 「特に、農工大発のスタートアップ『グリーンベーカリー』さんとの出会いが大きかったです。彼らのような研究をベースにした企業と、地域の人々をつなぐ場ができたらと思っていました」と新井さん。

 開催場所は、もともとテニスコートだったという農工大内のスペース。現在では、産学連携やスタートアップ支援を目的とした拠点として活用されています。無印良品も、地域・大学・企業が交差する「ハブ」として、この空間の可能性を模索している最中です。

「地元の方がふらっと気軽に立ち寄ったり。大学内にあるからこそ、地域の“居場所”として機能してくれているのが嬉しいです」

 イベントは「定期開催」を目指しており、地域に根付いた新しい文化の芽として、少しずつ育っている印象を受けました。

出店者に聞く、「食」と「暮らし」への想い

 当日出店していたお店はどれも個性的で、サステナブルやフードテックなど、現代的なテーマに正面から取り組むお店ばかり。中でも印象的だった店舗をご紹介します。

気にせんべい|「おいしい」が「体にいい」に変わる、新感覚おせんべい

サクサクと香ばしい味わいの奥に、塩分ケアのひと工夫。おいしさと健康の両立を実現したせんべい。
サクサクと香ばしい味わいの奥に、塩分ケアのひと工夫。おいしさと健康の両立を実現したせんべい。

 こちらのお店は、「塩分吸着ファイバー」という海藻由来の粉をまぶしたおせんべいが目玉商品。塩味は感じるのに、胃の中では塩分の吸収を抑えてくれるという優れモノです。

 出店のきっかけは、サステナブルフードテック協議会のつながりから。実は、同社は「スタートアップワールドカップ・九州大会」で優勝するほどの実力派で、イベントの翌週にはサンフランシスコで開催される世界大会にも出場予定なのだとか。

 技術は世界基準ですが、「おせんべい」という親しみやすい形で、誰もが自然に手に取れる商品づくりが魅力です。

「気にせんべい」は、製造元であるトイメディカル様の公式オンランショップでも購入可能です。

Half-SA|「一輪の花」が暮らしに彩りを添える

ハロウィンを意識したお店構えが楽しいHalf-SAさん。
ハロウィンを意識したお店構えが楽しいHalf-SAさん。

 「Half-SA(ハーフエスエー)」は、インターネット販売や、フラワーデザインレッスンの教室で活動するフローリストユニット。今回で2回目の出店となり、会場入り口を華やかに彩っていました。

 仕入れるお花は「ちょっと珍しいもの」にこだわり、ドライフラワーになる過程も楽しめるセレクションが特徴。「私たちらしいお花を」と選ばれたブーケには、どれも個性があり、ドキドキ・ワクワクするような魅力が詰まっています。

 府中・国立エリアでの地域密着イベントや、ワークショップなども積極的に開催されており、花を通じた「まちづくり」の一端を担っています。

フラワーデザインアトリエ「Half-SA(ハーフエスエー)」公式WEBサイト

Instgramをフォローすると、可愛いミニブーケがもらえました。

是core|こだわり野菜で作る“試食できる”ドレッシング

素材の味を活かした優しいドレッシング。試食販売で来場者からも好評を集めていました。
素材の味を活かした優しいドレッシング。試食販売で来場者からも好評を集めていました。

 国立にキッチンを構え、お弁当やドレッシング販売を手がける是coreさん。今回の出店は、他の出展者さんからの紹介がきっかけで、初の「試食販売」にチャレンジ。

 特におすすめは、人参・玉ねぎ・白ごまベースの自家製ドレッシング。使用する素材はすべて有機・地域産にこだわり、一口でその丁寧さが伝わってきます。 店主さんは府中の公民館にもよく通われていたとのことで、地域との接点も深いようです。

「是core」公式Instagram

作り手の想いがじんわり伝わるラインナップ。
作り手の想いがじんわり伝わるラインナップ。

GREEN BAKERY|「規格外野菜」がパンに変わる、アップサイクルの可能性

規格外野菜を活用したアップサイクルのパン。美味しさと社会課題解決を両立させた一品。
規格外野菜を活用したアップサイクルのパン。美味しさと社会課題解決を両立させた一品。

 農工大発のスタートアップとして注目される「グリーンベーカリー」。農工大の卒業生が代表を務めており、規格外の野菜を粉末にしてパンや焼き菓子にアップサイクルする事業を展開中です。

 中でも人気なのが、オイシックスでも年間3万個を売り上げるという「パニーニシリーズ」。野菜の粉末を練り込んだパン生地に具材を挟んだ、見た目にも美味しい逸品です。 「普段はスーパーなどとの取引がメインで、お客様と直接話す機会は少ない。こうした場は貴重ですね」と語ってくれました。

からだに優しい野菜パン「グリーンベーカリー」

焼き菓子やパンもすべてアップサイクル素材を使用しています。
焼き菓子やパンもすべてアップサイクル素材を使用しています。

中道カフェ|「かわいい」だけじゃない、地元食材のやさしいお弁当

国立産野菜たっぷりのお弁当と「飲めるチーズケーキ」が並ぶブース。
国立産野菜たっぷりのお弁当と「飲めるチーズケーキ」が並ぶブース。

 国立に店舗を構える中道カフェさんは、今回が初出店。農工大の関係者からの紹介で参加が決まりました。

 特におすすめは、国立産の野菜をたっぷり使ったお弁当と、インパクト抜群の「飲めるチーズケーキ」。どちらも見た目の可愛らしさに加え、「体にいい素材」を意識している点が印象的でした。

 「イベント出店はあまりしないのですが、声をかけてもらって嬉しかった」とのこと。地域に根ざしたカフェとして、今後の活動にも注目したい存在です。

くにたち野菜工房「中道カフェ」公式Instagram

農食|大学発、食の循環を体現する料理とスイーツ

農工大の食材を使った「優とんロースポーク丼」は、まさに学びと食の循環を体現した一皿。
農工大の食材を使った「優とんロースポーク丼」は、まさに学びと食の循環を体現した一皿。

 普段は農工大内のカフェスペースで料理を提供している「農食」さん。今回のマルシェでは、規格外野菜を食べて育った豚を使った「優とんロースポーク丼」や、グルテンフリーのカヌレなどを販売。

 素材選びには特にこだわり、大学内で育てたナスや、フードロス対策から生まれた豚肉など、食の循環を実践する取り組みが特徴です。

 「まだ始まったばかりのカフェですが、学生だけでなく地域の方にも知ってもらえたら」と話してくれました。

「農食(NOUSHOKU)」公式Instagram

学生と地域の人々がつながるきっかけに。キャンパスの中の“美味しい実験室”。
学生と地域の人々がつながるきっかけに。キャンパスの中の“美味しい実験室”。

「大学の中だけど、誰にでも開かれた場所へ」

購入した商品は、隣のカフェスペースで食べることもできます!
購入した商品は、隣のカフェスペースで食べることもできます!

 「初回のNOKOマルシェは、予想を上回るお客様が来てくださいました」と語る無印良品の新井さん。学生だけでなく、子どもからお年寄りまで、幅広い世代がふらっと立ち寄れる場所にしたいという願いのもと、このマルシェは続いていく予定です。

 「フードテックとかって、ちょっと難しそうに聞こえるかもしれないけれど、“おいしい”と一緒に楽しんでもらえたら嬉しいですね」と、新井さん。

 府中・多摩地域の力を再発見できる「NOKOマルシェ」。次回の開催にも、ぜひ注目してみてくださいね。

次回の「NOKOマルシェ」は2025年12月13日(土) 11:00~15:30の開催予定とのこと。
気になる方は西東京国際イノベーション共創拠点のWEBサイトを要チェックです!
12月NOKOマルシェ開催のお知らせ

【関連情報】
西東京国際イノベーション共創拠点WEBサイト
無印良品 東京農工大学府中キャンパス

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この記事を書いた人

吉野 早紀のアバター 吉野 早紀 ライター / 府中で暮らそう!編集チーム

普段は求人採用記事やSEOに特化した記事制作を手がけるライターとして活動中。
府中には行きつけの美容院があり、週末には「カフェ・サンク」さんのモーニングでほっと一息つくのが楽しみです。地域での素敵な発見を皆さんと共有できればと思っています!