府中で訪問型リハビリサービスの理学療法士(PT:Physical Therapist)として活動する吉田麻希子さん。彼女が手掛けるお菓子屋さんである「まぁーのお菓子なおうち」は、自らの夢をパワフルに現実へ変えていく姿を見せてくれます。本業の傍ら始めたお菓子づくりは、いまや副業の枠を越え、地域の人々を笑顔にするサイクルを生み出し続けています。働くことを楽しみ、多くの笑顔を創り出していくために、吉田さんが見つけた方法とはどのようなものなのでしょうか。
第二のキャリアに製菓の道を選んだきっかけとは
日中は訪問リハビリの理学療法士として原付バイクを駆り、府中のまちを巡っているという吉田さん。多くの利用者様から愛され、求められている彼女も、過去には自らの働き方や将来に悩んだことがあったそうです。「自身のキャリアを見つめ直していたとき、友人から『自分の趣味を見直してみたら?』と助言を受けたんです。そこでパッと思い浮かんだのが、大好きなお菓子づくりでした」。
幼い頃から母とともに楽しんでいたお菓子づくり。季節毎のイベントを大事にする家庭で育った吉田さんにとって、お菓子という存在は人々を笑顔にする原点にも思えました。
最初に受けた注文は、友人のお子さんの誕生日を祝うお菓子だったそう。それを試しにInstagramへアップしたところ、次第に知人から「私にも作ってほしい」と連絡が来るようになったといいます。活動3年目に入る今では、年に80件以上のオーダーを受けるまでに成長しました。
お菓子屋さんを副業として始めるようになってから、本業である理学療法士の業務にも不思議と張り合いが出るようになったと語る吉田さん。まったく違う仕事だからこそ、それぞれが息抜きになっているように思えるといいます。
「リハビリとお菓子づくりって、一見関連性がないように見えますよね。でも、本当はどちらも『ひとの笑顔を作る仕事』なんです。リハビリで利用者様が元気を取り戻すことと、お菓子を通してお客様が喜んでくださること——どちらも辿り着く先は同じ『幸せ』だから、こうして頑張れているんだと思います」
組み立てて遊べる一点もののアイシングクッキー
吉田さんのお菓子には、見た目の楽しさと食べる楽しさが詰まっています。「まぁーのお菓子なおうち」のお菓子は、主に焼き菓子がメイン。中でも彼女が得意としているのは、子どもたちが自らの手で組み立てて遊べるキット型のアイシングクッキーです。今冬はクリスマスの時期に合わせて、自立するクリスマスツリー型のクッキーを企画しています。
「コンセプトは、見て楽しく、食べて美味しいものを作ること。リハビリの仕事が本業だからこそ、知育菓子としても楽しんでもらえれば」と、吉田さん。どんな形にすれば飾り付けしやすいか、あるいは子どもたちの脳によりよく働きかけられるかを考える一方で、一緒にいる親のほうも童心に帰れるような体験を味わってほしいと願っています。
ひな祭りに合わせた5段飾りや、子どもの日の『かぶと』をモチーフにした立体クッキーなど、吉田さんの作品は他では見られないユニークなものばかり。周囲から驚かれるほどの出来栄えは、1点1点を丁寧に手作りしているからこそ出せるクオリティです。
「アイシングクッキーの強みは、あらゆるものをデザインに落とし込めること。これからもお客様の欲しいものに寄り添いながら、笑顔を引き出していきたいです」と、吉田さんは微笑みます。
やりたいことをやる「楽しい人生」を送るために
二足の草鞋を履き、日々パワフルに過ごす吉田さん。どのようにしてそれぞれの仕事を両立しているのかを尋ねたところ、驚くべき過密スケジュールが浮かび上がってきました。
「平日は週4日、訪問リハビリの業務に定時までかかっています。18時からは作業場としてお借りしているミモザハウスへ移動して、製菓の時間。没頭しているとついつい深夜までかかることもありますね」と笑う吉田さん。お休みは金曜の日中のみで、土日は地域のマルシェやハンドメイドイベント等に出店しています。
「やりたいことを我慢して、後から後悔したくないんです。自分が死ぬときには『人生楽しかった!』と大満足して終わりたい。いつまで今の生活が続けられるかはわかりませんが、私が関わる人が一秒でも多く笑顔で過ごせるよう関われたらと思っています」。
日常を笑顔で彩るきっかけになりたい
吉田さんは現在、是政にある「ミモザハウス」というシェアハウス&キッチンを借りてお菓子づくりに励んでいます。ミモザハウス内で定期的に行われるマルシェの他、「キテキテマルシェ」等にも出店しているそう。府中市内のイベント出店に積極的なのは、訪問リハビリで接する利用者様の存在が大きいといいます。
「身体が自由に動かせないと、どうしても日常の外出が億劫になりがちです。だからこそ、私が地域のマルシェやイベントに出ることで、リハビリ中のお子さんやご利用者様が外に出るきっかけのひとつになればと思っているんです」。今では吉田さんがイベントに出るたび、駅前や出店先まで通ってくれる常連さんもいるそうです。
店舗を持つことにこだわらず、笑顔を届ける活動を続けていきたいという吉田さん。お祝いのシーンを笑顔で彩るようなお菓子を、これからも作り続けてくれるはずです。
夢を追いかける全ての人へ
「今の仕事にプラスして、自分の好きなことを形にしたいと思っている人たちに、私の活動が参考になれば嬉しい」と語ってくれた吉田さん。自分らしい働き方で、自分も周囲も笑顔にすることができる——その素晴らしさと魅力を、『まぁーのお菓子なおうち』という実践を通じて伝えてくれました。
おまぁーのお菓子なおうち
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実店舗なし。
ミモザハウスによる定期マルシェの他、不定期のイベント出店がメインとなります。
【注文方法】
随時オーダーを受け付けています。
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